病院で行われる「エンゼルケア」と呼ばれる死後の処置。
病床で最期を迎えられた患者様を看護師の方が処置・化粧を施し、家族のもとへ帰る支度をする、病院生活最後の区切りとして意味ある施しです。丁寧で献身的なその処置に、感謝の言葉を述べることでしょう。ただその相手は、故人様ではなく、最期の看護ともいえる処置をしていただいた看護師の方に対するものではないでしょうか。
湯灌とは、病院での処置や化粧をやり直しするものではありません。また、身体をきれいにするためだけに行うものでもありません。
家族が儀式を通して故人様とのひとときを共有しあうことにより、自らの手で、自らの言葉で、自らのまなざしで想いを伝えることができる、尊い営みでもあります。故人様の人生を尊び、永遠の想い出をともに心に刻みあう。湯灌とは、そんなかけがえのない営みの時間でもあるのです。
お別れであると同時に、故人様にとっては旅立ちでもある湯灌。涙ばかりより、ときに微笑み、手を振り、見送る。愛する人をおくりだす家族にとって大切な時間なのです。

