湯灌の歴史

古くは日本書紀にもあると言われているように、湯灌の起源については様々な説が存在するようですが、日本では一条天皇の没後(1011年)の葬送について「沐浴」と記された書物が残されていることから、約1000年前より今の湯灌に通じる葬送儀礼が行われていたと想像できます。

また湯灌そのものについて、唐の義浄が7世紀にインドから持ち帰り訳した「仏説無常経」の付録「臨終方訣」という経の中に、「命尽きそうな人がいれば、慈悲のこころを持って救済すべきである。香湯をもって身を清浄にし、新しい衣を着けて静かに坐らせ、正しく念の持たせる・・・」とあることから、世界的に見ても、さらにそれ以前より行われていたことが窺い知れます。明確な起源は不明ですが、仏教による葬送が行われ始めた頃には、すでに儀式として湯灌が存在していたと思われます。

「湯灌」のように故人様に対して行う儀式は、様々な民族、宗派を問わず行われているようです。このことは、大切な人をおくる際に、真に故人様を尊び、向き合い、想いを伝えることが人間としての普遍的な想いから行われる大切な営みであると認識されているからではないでしょうか。